「台風3号の夜」 ’00年7月7日
暑い日が続いていると思っていたら、台風までがやって来てしまいました。
夕方から雨と風邪が強くなって来て、実をつけたばかりのカリンの木の枝がザワザワと鳴っています。
そうと知ってか知らずか、ミケやトラはしきりに外に出たがります。
こんな激しい雨の中に出て行けばたちまちのうちにビショ濡れになってしまうのは確実ですから外には出せません。
それでもどうしても外に出たかったのでしょう。
私が雨戸を閉めようとしているすきにミケは私の足元をすり抜けて外に飛び出してしまいました。
雨戸を閉めきった家の中は急に暗くなったみたいでした。
閉じ込められているような静けさに満たされた部屋は空気さえも少し濃くなったみたいで息苦しく感じられました。
そんな不穏な気配を感じたのか、モコやしし丸、イネたちまでが2階の寝室により集まっていました。
時々、風が雨戸をガタガタと鳴らすとユキは耳をピクッと立てて少しおびえたような顔をしていました。
何度か雨戸を開けてミケとトラミの名を呼んでみたのですが、ミケたちの姿はどこにも見えませんでした。
近所の家のガラクタ置き場か車庫にでも非難しているのでしょう。
雨風の強さは明け方の4時頃にピークに達し、朝にはすっかり勢いを失っていました。
玄関のドアを開けて外に出てみると、玄関のわきに積んであった段ボール箱の中からミケの鳴き声が聞こえました。
ミケはこの段ボール箱の中で夜を明かしたようでした。